浜田太 写真集のご案内
時を超えて生きるアマミノクロウサギ
発行日:1999年1月10日
発行:㈱小学館・・・世界で初めて捉えた衝撃写真 定価:3,570円(税込)
奄美の原生林に太古の昔から生をいとなむ「生きた化石」を撮った。
スペシャルサンクス
立松和平、服部正策、浜田百合子、阿部慎太郎、酒匂 猛、城 和成、富岡静樹、小川精治、工藤昌男、小栗和夫、下栗兼弘、CAC、宮川 勉
あとがきにかえて
アマミノクロウサギに魅せられ撮影を始めてから、13年の月日が流れていった。
それはハブへの恐怖、仕事の兼ね合い、経済的逼迫、機器の改良、などなど、いろいろなものとの戦いでもあった。
とはいっても、僕には森はやすらぎの場であった。
森には、なによりうまい空気があったし、鳥やセミ、カエルなどのやさしい声があった。
ときには森の出す精気や奄美の妖怪であるケンムンの存在に怖気づきながらも、この森の美しさとクロウサギの謎めいた生の営みに魅せられてきたのだと思う。
そこには、僕の知らなかった奥深い故郷の顔があった。
この本は、僕の13年間のフィールド・ワークのまとめであるが、太古から行き続けているアマミノクロウサギの姿をほんの少し垣間見ただけにすぎない。
まだまだ、残された課題も多い。是非、また挑戦していきたいと思っている。
奄美の森に放たれたマングースの脅威、住処を奪う森林破壊などの問題も、クロウサギの生存を根本から脅かしている。
古代から連綿と続く彼らの命の歴史は21世紀へ、またそれ以上までも繋げていかなくてはならない。
この本がその保護研究の一助になれば幸いである。最後にアマミノクロウサギを撮影するにあたり、励ましと勇気を与え続けて下さった写真家の宮崎 学氏に深く感謝するとともに、
協力を惜しまなかった地元の皆さん、機材開発を快諾してくれたメーカーの方々、また、写真集出版の機会をあたえてくれた小学館の島本脩二、細山田正人、宮川 勉氏に心からお礼を申し上げたい。
ありがとうございました。
そして、この本を母なる奄美の森に捧げたいと思います。