クロウサギの独り言

クロウサギの森太に名前決定!

今日はぼくとおかあさんのこともっとみんなに知ってもらおうかな?
だってにんげんたちの親子では親がこどもをころしたりしているらしい。
ぼくたちうさぎの親子では考えられないこと。

ぼくは生まれたばかりのころ、おかあさんとべつの巣穴でそだてられ巣の入口はおかあさんがこないと外にも出れないんだ。
だけど、ぼくはおかあさんのこと信じているからじっと待っていられるんだ。
これが親子の絆って言うやつだと思う。人間の世界ではこの絆が薄くなっているのかな。

今は毎晩おかあさんのうしろからついて、森のこと学習している。
においと音に気をつけてよちよち歩いているんだ。
時々がけから落ちそうになったりするけど、おかあさんに助けてもらって森のあるきかたを少しずつ覚えているところさ。

そうそう、僕の名前は森太(しんた)に決定しました。
奄美の森の中で元気に生きるぼくにピッタリの名前だと思いませんか。
今日から「クロウサギの森太」と呼んで下さい。

僕はこれからお母さんと夜の散歩に出かけるところです。
いま昼のお友達ルリカケスやアカヒゲ、オーストンオオアカゲラ、カラスバト等がねぐらに帰るところみたいだ。
ギャ~とかヒョロロン、キャッ、キャッ、ウ~ウ~と鳴き声が聞こえてくるよ。
他にもたくさんの鳥たちがさわいでいるよ。

ぼくらと同じ夜の仲間も鳴き始めている。
リュウキュウコノハズクやアマミヤマシギなども活動を始めている。
夕暮れは奄美の森に棲む殆どの生きものが総出演する時間なのさ。
カラスバトのウ~じいさんが「今から出かけるのかね」とぼくとおかあさんに声をかけてくれた。
「そう、これから森太と一緒に出かけるところですよ」とおかあさんがこたえている。

そうなんだぼくたち奄美の森の生き物たちは、奄美の森の言葉が話せるんだ。
人間はこのことを知らない。ぼくらだけの秘密のことばがあるんだ。
だからいろいろな出来事を、しらせあっているのさ。時々ケンカもするけれど・・・。