クロウサギの独り言
夜の森歩き
森が夕暮れに迫る頃、ぼくとおかあさんは巣穴から出て散歩にでかけるんだけれども、ぼくたちにとっては巣からでて帰るまでは命がけなんだ。
人間だって森でよく迷ったりして死んだりするだろ?
奄美の森だって深いし気をつけないと巣穴にたどりつけないことになってしまうんだ。
だからぼくとおかあさんは、森の中でウンチをしたりオシッコをしたりして自分の臭いを残しながらあるくんだ。
ぼくらは臭いと音をたよりにして目はそんなに良く見えないんだ。
まずいつものように広場や川原にでておもいっきりウンチをしてからススキや椎のみ等を食べるんだよ。
おや?もうほかのウサギの仲間もススキを食べているよ。
こうやってあちこちから広場に集まってくるのさ。
「久しぶりだねしばらく見なかったけれど、どこにいっていたんだい?」森太が尋ねると
「わたしたち別の広場に行っていたんだ。そこにも仲間がたくさん来ていてさ毎日行っていたんだ」。
話を聞いてぼくもいきたくなったな。
「そこにはアマミヤマシギのお友達や時々かえるのおともだちなどもきて賑やかなんだ。
こんど森太も行ってみるといいよ。最近の奄美の森の情報が分かるよ」。
今、一番気をつけないといけないことがあっていままでぼくたちが、見たこともないやつがこの森にいるらしい。
そいつは森の仲間をつぎつぎに襲って食べているそうだ。
どうも人間がそいつをこの森にはなしたようだ。
ぼくらは、今までそんなやつに襲われたことないからどうやって逃げたらいいかわからない。
とにかくそいつに会わないようにするしかないってみんないっていたよ。
なんだかぼく怖くなってきたな~。