メインは二大特集でありまして、巻頭は、「貴重な証言で描く島々の妖怪大全」。与論から始まり、沖永良部島、徳之島、喜界島まで行って、取材してきた証言をまとめましたが、発言者の氏名も顔写真も掲載して、より信憑性を高めたのが、すごいと思っております。勝手に私が、書物から取り出してまとめたのではなく、実体験の現代の証言をまとめたことは、貴重な民俗資料になるものと思っております。妖怪は与論のものが他の島々と一番変っていて、興味深いですね。イシャトゥという一本足の妖怪です。この妖怪と、徳之島伊仙町のイッサンサンが似ているということを、徳之島の方からいただきましたが、そうですよ!これは、何か繋がっているやもしれません。是非、どなたか調べて頂けませんでしょうか?
こうした妖怪を、今回はイラストにおこしたのも、面白いところ。イメージを限定してしまうという欠点はありますが、これは、みなさんの共通認識を深めるたたき台になるという意味では、とても役立つと思うのですが、いかがでしょう。
次には、奄美群島のパワースポット特集。これも、今までにない特集ですね。パワスポは、人によってそれぞれあると思いますが、霊的なものばかりではなく、癒しや気力などの元気をもらえる場所もパワスポなのではないでしょうか?これも与論が特に面白い。まあ、奄美から一番遠いので、私が知らなかったというだけかもしれませんけれど。島々の神社巡りも初めての経験で、より、深い部分に触れた気がしましたね。その他のエッセイでは、奄美人物列伝(奄美偉人列伝を変更しました。)では、ケンムン博士とも呼ばれた民俗学者の恵原義盛さん、シマ唄研究者の小川学夫先生の「ふたつのシマウタ文化」論は、徳之島と沖永良部島を境に音楽と言葉の扱い方に違いが出たことを書いてくださっています。本邦初公開のエッセイとのこと。初出、ホライゾンなんて有り難い事です。それから、「島尾敏雄とわたし」のリレーエッセイでは、島尾伸三さんの奥様である潮田登久子さんのエッセイ。島尾敏と、ミホさんの姿が見えるような、ノスタルジックなエッセイでした。